[第16話]
そんなの…設定だけじゃないですか!

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ストーリーの組み立て方で起承転結というのがありますが、
僕は承の役割が長いことよくわからなくて、何となくお使いイベント入れたり、消化試合にしてました。
で、最近になって自分なりに承の役割が腑に落ちたので、そのご紹介。

承は言うまでもなく、起を受けて転につないでいく部分です。
ではこの、転につなぐって具体的に何なんでしょう?
どうしたらストーリーをより楽しんでもらえるのでしょうか?

まあ、いろいろあるとは思うのですが…
僕は積み上げることが承の大きな役割だと考えています。

積み木をイメージしてください。
起で1つ目の積み木を置き、
承で積み木を2つ3つと重ねていき、
転で積み上げた積み木を崩し、
結は崩れた積み木が実は何かの絵になってるとか、
そんなイメージです。

転でプレイヤーにショックを与えることを狙ったとき、
積み木がよりたくさん、より高く積み上がっている方が良いですよね。
それが承の役割なのです。


もう少し具体的に、例えば以下のようなストーリーを考えてみましょう。
僕が昔作ったMystic EnergyというRPGのストーリーです。

起:主人公は不思議な力を持っていた。
承:主人公は自分の力の正体を知るべく旅に出る。
転:主人公は自分の力が悪魔の力だと知り、ショックを受ける。
結:主人公は自分に力を与えた悪魔と決着をつける。


どうでしょうか?一応、話として成り立っているように見えますか?
実は、意図的に重大な部品を抜いておいたつもりです。

それは転で、自分の力が悪魔の力だと知った主人公が何故ショックを受けるのか、
ということです。
その理由がストーリーに含まれていません。

どう解決しましょうか?

悪魔は一般的に悪いものだからショックを受けて当たり前でしょうか?
いやいや、それはさすがに乱暴でしょう。
一般常識に頼るのではなく、
このストーリーにおける悪魔の悪さをストーリーの要素として含んでおくべきだと思います。

悪魔によって人々が苦しんでいる世界という設定にすれば良いでしょうか?
それは説明しているだけなので、プレイヤーは納得、感動してくれなさそうです。
説明は情報を伝達する方法として効率的ですが、感動はしません。
非効率でも感動を起こせることにストーリーの意義があると考えます。

あくまで(悪魔だけに!)一例ですが、ストーリーの承の中で、
以下の2点に関するエピソードを積み上げるべきと考えます。
この2つをたくさん積み上げ、落差が大きくなるほど転に説得力が生まれ、
プレイヤーが納得、感動してくれる可能性が大きくなると考えます。


いかがだったでしょうか?

積み上げること。
ストーリーの承の部分を作るときは、是非これを意識してみてください。
無闇に積み木の数を増やしても、実はあちこちに一段目ばかりを散らかしたりしていないでしょうか。
複数の柱を作るのは良いことですが、1つ1つをきっちり積み上げるのは大切です。
一段目だけでは転で倒せません。
ずるずるっと滑るだけです。

少し話が変わりますが、
他に承のポイントかなと思うのは、情報を小出しにすることと、
振幅をだんだんと大きくしていくことです。


情報を一気にたくさん出すとプレイヤーの理解が追い付かなくなる可能性がありますし、
どうしても説明的にならざるを得ません。
難しいですが、僕は設定やテーマをストーリー中で出来るだけ説明すべきでないと思っています。
それはストーリーの流れで、キャラクターの言動で、プレイヤーに自然に受け入れてもらうべきものです。

振幅とは前進と後退の幅です。
最初は小さな事件、小さな成果から始まり、
それがだんだんと世界を巻き込むような事件、世界を救うような成果につながっていく…
一歩進んで二歩下がり、三歩進んで四歩下がり…
その繰り返しはストーリー中最大の落差である転に導くためのステップです。

以上、高く積み上がった柱をたくさん作れたとしたら、
転では柱のドミノ倒しが起こり、プレイヤーは阿鼻叫喚に叩き落されることでしょう。
承の積み上げで落差を稼ぎ、転でプレイヤーをショック死させよう!
これを今回のまとめとさせていただきます。


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